穴窯2002年
呼福窯の穴窯では、信楽原土と備前土を主に使って、薪で焼き締めます。
信楽原土は、冬の間に粘土にします。
このページの画像は、2001年暮れから2002年正月まで焼いた穴窯のものです。。
妻咲多子と窯詰め中です。
窯詰めは、ゆっくり入れて、約一週間かかります。
どの土で出来た物を、どの形の物を、何処に、どう置いて、どんな風に
焼くかを考え、決めながら入れていきます。
作品をそのまま窯の中に置くと、解けた灰が、ガラス状に
なったとき、作品が床とくっつくので、それを避けるため、
”め”と言って、作品の下に耐火度の高い粘土で作った
団子の様な物をいくつもくっつけて,窯詰めします。
季節、窯詰め、焦りなど、条件によって違いますが、今回薪は大体1500束使いました。
私が使っている土は、1200度を超えなければいけないのですが、
1100度を超えた頃から、温度が著しく上がらなくなります。
1時間に5度も上がれば良い方です。
気合いが入りすぎたり、うっかりすると、20度くらいは、下がってしまいます。
勿論、ショックです。が、泣いて放り出す訳にはいきませんので、
また、えっちらおっちらがんばります。
窯焼きは、本当に疲れ切ります。が、終わると、すぐ次への意欲が湧いてきます。
不思議です。
炎に魅せられるのは、なぜでしょうか?
今、風はありませんが、
風が強いと、疲れが3倍です。
火の粉が飛びます。
温度が上がりません。
私たちは家族で焼いています。
私が徹夜をします。5回か6回か。
今のところチームワークの乱れはありません。
窯焼きはくたくたになります。
今回は,
窯焼きのあと、2週間
ぼんやりしました。
でも、やっぱりすぐ次が焼きたく
なりました。
火を止めて、20日が過ぎました。いよいよ窯出しです。
焚き口(ロストル)とその周りの写真です。
手前の白い物は、べにや板です。この上に小さな作品を載せてだします。
左の方に、茶碗がいくつかころがっています。
窯詰めした時には、きちんと並べて、”め”をしっかり
くっつけて置いたのですが、焼いている内に、転がったり
したのです。
それにしても、よく灰がかかって、ビードロになって流れています。
良いできです。わくわくします。早く手にとって、完品かどうかを確かめたくなります。
床の色は、灰の色です。
いくら”め”をつけていても、溶けた灰が(ガラス状に)たくさん流れて、
作品と床がくっついて離れなくなっている事もあります。
そういう物は、無理に剥がしますので、ここまできて、壊れてしまいます。
また、薪や灰に押されて、作品同士がくっついていることも、よくあります。
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このお茶碗で、この日のために集まってくださった皆様と、
お抹茶をいただきました。
やはり、味わいには格別なものがありました。
今回は、右の手前の大きくて、美しいのが、べりべりに割れていました。
無地の(絵も描かず、釉薬もかけないで)まま、薪で焼く事によって
生まれた、この、自然の造形を、窯変とか窯彩とかあるいは自然釉と言います。
この大壺の実際の美しさは、例えば始めて見たオーロラか、始めて見つめ合った恋の相手かと
いった感じでした。
手前の馬と五つ(中一つつ、小四つ)の作品は、咲多子の作品です。
ひとつひとつ、てびねりで作りました。